2022/05/25
委員長’s Choiceを更新しました
カテゴリー:お知らせ
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(2020年度採択)数理的生成手法によるCGとデジタルファブリケーション|研究代表者:巴山竜来(専修大学)
織物に関するデジタルファブリケーションに関して新たな数理的生成手法を開発しようとする挑戦的な試みで,格子の理論を応用した織物組織の生成や実装,CGによる可視化技術のものづくりの技術を通じて,研究者,技術者,デザイナーやアーティストの交流を行うとともに,分野横断的な新しい研究や産業応用の創出を目指したものです.既にいくつかの成果が出ていますが,今後も時間をかけてデザイナー,アーティストや技術者と数学研究者で知見のすり合わせを粘り強く行って行くことで,今後の発展が大いに期待されます.
(2020年度採択)シェル理論・膜理論への微分幾何学からのアプローチとその建築曲面設計への応用|研究代表者:早川 健太郎(京都大学大学院工学研究科建築学専攻)
意匠性と施工性に優れたシェル・膜構造を力学的・幾何学的な観点から組織的に構築することを目指し,可積分離散曲面論を実際に建築に活用しようという意欲的な試みです.数学と建築の若手研究者2名ずつを中心に立案され,建築分野の中堅の研究者が全体を見渡しながら支援するという形の計画で,建築の古典的な手法と先進的な数学をつなぐように,内容と計画は十分に時間をかけて綿密に検討され,その上で実際の共同研究作業が行われています.建築の具体的な問題から生起した,古典と先進,理論と実装,考察と作業のバランスがよい短期共同研究です.
(2020年度採択)特異点の視点からの異分野探訪|研究代表者:加葉田 雄太朗(長崎大学情報データ科学部)
特異点論のさまざまな分野への応用を目指して,トポロジー・特異点論の若手研究者が九州大学の統計学,芸術工学,医学,情報科学の研究者たちと議論を行って問題の発掘を行ったものです.議論されたテーマは因子分析の評価関数の最適解,曲線族の特異性と生物リズムや医療画像解析,特異点論の情報科学への応用などで,テーマによって内容の深浅や温度の違いはあれ,新たな研究を開拓するための第一歩として短期研究員制度を使っていただいたよい例だと思います.実際,いくつかのテーマについては具体的な共同研究に向けて活動が開始されているようです.このような地道な活動を粘り強く続けて,是非新しい展開につなげていただければと思います.